事業者が行う退避や立入禁止等の措置について、保護措置の対象が拡大されます。
労働安全衛生法に基づく省令改正により、「作業を請け負わせる一人親方等」、「同じ場所で作業を行う労働者以外の人」にも、労働者と同等の保護が図られるよう、必要な措置を実施することが事業者に義務付けられます。
・労働安全衛生規則 ・ボイラー及び圧力容器安全規則 ・クレーン等安全規則 ・ゴンドラ安全規則
1 危険箇所等において事業者が行う退避や立入禁止等の措置の対象範囲を、作業場で何らかの作業に従事する全ての者に拡大
危険箇所等で作業を行う場合に、「同じ作業場所にいる労働者以外の人(一人親方や他社の労働者、資材搬入業者、警備員など、契約関係は問いません)」も、以下の(1)から(3)までのような措置の対象にすることが義務付けられます。
※ 令和5年4月から、多量の高熱物体を取り扱う場所、有害物を取り扱う場所、有機溶剤等の貯蔵場所などの『有害性』の高い作業場所を対象に、「立入禁止、喫煙・飲食禁止」「退避」「有害性等の表示」 「保護具使用の必要性の周知」等の措置の実施が義務付けられています。
令和7年4月から『危険性』が高い場所についても、同様に、以下のような義務が施行されます。
(1) 立入禁止・搭乗禁止等
労働者に対して危険箇所等への立入禁止、危険箇所等への搭乗禁止、立入等が可能な箇所の限定、悪天候時の作業禁止の措置を行う場合、その場所で作業を行う労働者以外の人もその対象とする必要があります。
(2) 火気使用禁止等
喫煙等の火気使用が禁止されている場所においては、その場所にいる労働者以外の人についても火気使用を禁止する必要があります。
(3) 退避
事故発生時等に労働者を退避させる必要があるときは、同じ作業場所にいる労働者以外の人も退避させる必要があります。
(主な対象)
・ 車両荷役運搬機械等(フォークリフト、不整地運搬車、貨物自動車など)の接触危険範囲への立入禁止、搭乗席以外への搭乗禁止
・ 車両系建設機械(ドラグ・ショベル、くい打ち機、ブレーカーなど)の接触危険範囲への立入禁止、搭乗席以外への搭乗禁止
・ 特に火災又は爆発の危険がある場所への立入禁止
・ はい作業が行われている場所への立入禁止
・ ボイラー室等のボイラー設置場所への立入禁止
・ ハッカーによる玉掛けなど一定の玉掛け方法でクレーン作業を行う場合の、つり上げられた荷の下への立入禁止
(主な対象)
・ 危険物以外の可燃性の粉じん、火薬類、多量の易燃性の物又は危険物が存在して爆発又は火災が生ずるおそれのある場所での火気使用禁止等
(主な対象)
・ 化学設備からの危険物等の大量流出等爆発、火災等による急迫した危険がある場合の退避
・ 可燃性ガスが発生するおそれのある地下作業場所でのガス濃度上昇時の退避
2 危険箇所等で行う作業の一部を請け負わせる一人親方等に対する周知の義務化
立入禁止とする必要があるような危険箇所等において例外的に作業を行わせる場合であって、労働者に対して保護具等を使用させる義務がある場合には、請負人(一人親方、下請業者)に対しても保護具等を使用する必要がある旨を周知する必要があります。
※ なお、令和5年4月から、多量の高熱物体を取り扱う場所、有害物を取り扱う場所、有機溶剤等の貯蔵場所などの『有害性』の高い場所を対象に、請負人に対し「局所排気装置等を稼働させる等の配慮」「特定の作業方法が義務付けられている場合の作業方法の周知」「保護具使用の必要性の周知」等の措置の実施が義務付けられています。
(主な対象)
・ ホッパー等の内部で作業をさせざるを得ない場合の墜落制止用器具の使用の周知